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「好きな事で生きていく」のではなく「プロになる」  プロブレイクダンサーBBOY TAISUKEの決断【前編】

Interview by Yoichi Goto | Photos by Naomi Okubo

2016.07.29[Fri]

ブレイクダンスは、素早いステップと頭や肩、ひじを使って地面を回ったり跳ねたりする動きをする、ヒップホップダンスの一つである。ブレイクダンサーはブレイクの「B」をとって、「B-BOY」と呼ばれ、ダンスバトルの舞台で相手とテクニックやクリエイティビティを競う。

ニューヨークで生まれ、世界中に広がったヒップホップは、日本でも古い歴史があり、日本のブレイクダンスシーンには、世界でリスペクトされるBBOYがたくさんいるのは一般的にはあまり知られていない。

今回のインタビューは、若干10歳で日本のブレイクダンスシーンのトップに躍り出て、世界最高峰のソロダンスバトルイベントである、RED BULL BC ONEで日本人史上最高位の準優勝を2度獲得しているBBOY TAISUKE。

Taisuke vs Lilou – Battle 2
Red Bull BC One World Final 2013 Seoul


ダンスは2008年に義務教育になり、東京五輪の最終候補種目にスケートボードやサーフィンが残っていることで、日本でもストリートカルチャーが注目を浴びてきている。世界のダンスシーンを引っ張るTAISUKEに、ダンスシーンや日本のストリートカルチャーにについて、また、世界でも数少ない「プロブレイクダンサー」として活動することに決めた理由について聞いた。

カルチャーの「オーバーグラウンド」と「アンダーグラウンド」

後藤:実は昨日、TAISUKEさんと同じ長崎出身の会社の同僚に、「明日長崎出身の世界的ブレイクダンサーにインタビューします」って言ったら、「そんなすごい人がいるんだね。知らなかった!」と。(笑)

これまで何人か、ストリート系のアスリートにインタビューしてきましたが、日本のストリートシーンに、世界のトップで活躍する若い選手が沢山いること、そういった選手は海外にたくさんファンがいるのに、日本国内で非常に知名度が低いことに驚きました。

日本人の国際競争力が下がっていると言われることも多いですが、ここには10代・20代で世界で活躍している人が沢山いる。もっと多くの人にそのことを知ってもらい、世界でリスペクトされている日本のストリートカルチャーを大きくしたい、という思いでやってます。

TAISUKE:ありがとうございます。そうですか。俺は長崎県佐世保市の出身で、観光大使をやってたり、長崎のテレビや新聞には全部出てるんですけどね。(笑)

後藤:まずどういう経緯でダンスを始めたか伺っても良いですか?

TAISUKE:佐世保市には基地があるので、もともとアメリカンカルチャーがあるんですよね。それで親戚がダンスをやってて、姉がそれに誘われて、俺も始めたっていう感じですね。俺が小さいころはキッズダンスっていう言葉も無かったので、大人に混じって大会に出てました。

キッズダンスシーンが大きくなって、2008年にダンスが義務教育になって、それからこれまで、日本のダンスシーンを作ってきたっていう自負はありますね。

後藤:確かに、沖縄も基地があって、ダンサーが多く出てきているイメージが有ります。今は全国にダンススクールがありますよね。ダンスの義務教育化の影響は大きいんでしょうか?

TAISUKE:ダンス人口はめちゃくちゃ増えましたよね。日本のスポーツ別競技人口を調べると、サッカーとダンスは競技人口がほとんど変わりません。(*1)

後藤:そんなに多いんですか。意外な感じがします。

TAISUKE:あとは単純に、どこに行っても「義務教育」っていう言葉がすごくでてきますね。「義務教育」をきっかけにダンスとかブレイクダンスを知ってくれた人も多いと思います。「今後ダンスのことをやっていかなきゃいけない」、「ダンスに興味がある」、っていう企業から問い合わせが来ることも増えましたよね。

後藤:特にTAISUKEさんのスタイルであるブレイクダンスは、いわゆる「アンダーグラウンド」なイメージも強くて、取っつきにくいイメージがある気がします。義務教育になって、一般の人の興味が向けられるのは良いことだと思うのですが。

TAISUKE:興味を持ってもらえるようになったのは良いことだと思います。ただ、今はまだ、興味があると言っている企業の人もダンスとかそのカルチャーについては全然知らないです。

知らないのに興味を持ってもらえてる、ということは知ってもらえた時に変わるポテンシャルが大きいという事なので、それ自体は良いことなんですけど、本当にダンスのことを理解してもらうためには、まだまだ俺たちがいるコミュニティと、企業の人とのコミュニケーションが足りていないと思います。

俺たちのほうは企業の人からのリクエストとか、義務教育になった事によるカルチャーの変化を受け入れる準備はできてるんですけど、まだ一方通行のままな気がします。俺たちのカルチャーについて、頑張って調べてくれる企業もありますが、もっと聞いて欲しいし、もっと直接コミュニケーションを取りたいですね。

F6_taisuke003
後藤:日本にはスケートボード、スノーボード、BMX、ブレイクダンスやDJなど、ストリート、いわゆる「アンダーグラウンド」のカルチャーで海外でも活躍している人が沢山いますよね。

スケートボードやサーフィンが東京五輪の最終候補種目に残っていますし、ダンスも義務教育になって、最近は一般の人にもカルチャーが理解され始めてきているのかと思います。

TAISUKE:そうですね。でもまだまだ、「アンダーグラウンド」っていう言葉から、悪いイメージは消えてないと思いますね。俺たちのやってるダンスも含めて。

ただ、確かに昔は、目立ちたいっていう理由で始めたり、悪い人がはまりやすい側面もあったと思いますけど、俺はもう、ダンスをやっている人に悪い人はいなくなってると思うんですよね。 今は教育の一部になって、「オーバーグラウンド」でもある程度認められちゃったから。悪いことはできないですよ。

実際は、世の中的に「オーバーグラウンド」なところ、つまりサッカーとか野球、言ってしまえば政治の世界でもビジネスの世界でも、遊んでる人はみんな六本木とか西麻布で遊んで、時には悪いこともしてるわけですよね。俺たちにそんな余裕無いですからね。(笑)

俺たちはそういう遊ぶ時間を削って練習していて、でも結局悪いイメージを持たれているのはサッカーとか野球の選手じゃなくて、俺らって感じで。「オーバーグラウンド」のひとのほうが悪いことしてるじゃん、って思う事もありますね。(笑)


*1:スポーツ産業白書2015より、2013年のサッカー人口は480万人、エアロビクスジャズダンス人口は 410万人。ストリートダンス人口は600万人を超えているという調査もある。
(次ベージ「カルチャーの認知と理解の壁」)