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「ポスト・トゥルース時代のトーフビーツ(仮)」──tofubeats × 若林恵 トークイベントレポート【後編】

プラットフォームによる、作品へのマーケティングの介入

廣田:2人の話を聞いていて、翻って広告業界のことを考えてみると「みんな、どこを見て仕事をしているんだ?」と思うことが、最近多いんですね。今僕たちの仕事では、クライアントというお金を払ってくれるサイドの人がいて、一方で、伝える相手として一般の生活者がいて、「自分たちは、誰の顔を見て仕事をしているんだ?」と、引き裂かれてしまう感じになっています。

若林:広告といえば、そういえば最近、ある電子書籍のプラットフォームが、そこで取り扱っている電子雑誌の誌面内にあるキャラクターを紛れ込ませてそれを読者に探させるというキャンペーンを提案してきたんですよ。そのキャラを見つけた読者にはポイントが加算されるし、それを探してもらう過程で、キャンペーンに参加したそれぞれの雑誌のPVも増えるはずなので、Win-Winでしょ、って仕組みなんですね。

どこのメディアもおそらく台所事情は苦しいので、そういうキャンペーンを通してチャリンチャリンと収益が入ってくるのは、そりゃたしかにありがたいんですけど、でもこれって、キャンペーンのために、誌面を雑誌とはなんの関係もないキャラクターで汚せって話で、これはプラットフォーマーからの提案としては完全に行き過ぎって気がするんですけどね。

きれいごとを言うつもりはないですし、結論はないかもしれないけれど、どこからどこまでがコンテンツなのか、コンテンツの領分と広告の領分とを厳しく問うことを少なくともコンテンツをつくる側が放棄しちゃダメだと思います。

トーフ:例えるなら、Apple MusicやSpotifyで僕のアルバムを聴いていたら突然キャラクター探しが始まるようなものですもんね。

若林:そうそう。しかも、それをアルバムのなかに埋め込め、という話で、それは幾ら何でもやり過ぎだろうと。

トーフ:僕が広告会社の社員だったら、もしかしたら「それはワクワクやで!」ってなるかもしれませんが(笑)。アーティスト側からはありえませんね。サブスクリプションのサービスが普及すると、アーティストよりもプラットフォーマーが圧倒的に強くなるというのは自分もすごく感じています。

Apple MusicとかSpotifyは、トップに乗るか乗らないかでアクセスがかなり変わってくるらしいんです。そういうときに、自分のアルバムが売れるために営業さんががんばってくれて、各サブスクリプションサービスでプレイリストを作るといったことはやっています。そのおかげか今はトップに乗せてもらってますけど、その関係がいつ崩れるかはわからないですよね。ちょっとしたことの積み重ねで関係が成り立っているから、何かぐらつくとヤバいなと思います。

若林:プラットフォーム側がどういうかたちであれ、コンテンツそのものに介入してくるのは、それがどんな些細なものであれ、よろしくない事態ですよ。誰も非難しないのかってほんと不安になってきます。

トーフ:そもそも電子書籍のフォーマットに出版社側が合わせなければいけないわけですよね。音楽でも、各プラットフォームによってビットレートの違いとかジャケットのサイズの違いとかありますし。『FANTASY CLUB』も通常のフィジカル版と別に、デジタル用に分けてマスタリングしてもらってます。

まさにマーケティングの介入みたいな話で、売りやすい形式にしてくれという要請があってそれに合わせますという話がある。これに対して違和感を持っている人がいるのかいないのかは、ほんとうに気になりますね。


tofubeats – LONELY NIGHTS
廣田:改めて、作ることと売ること。また、ものを作ったり、それを伝えたりしていく上で、本当に大事にすべきものは何か、非常に考えさせられました。アーティスト、それからメディアの編集者の方の思いが聞けて、嬉しく思います。本当は、まだまだお話を伺いたいところなのですが、惜しくも時間となってしまいました。お二人とも、本日は非常に興味深い話をありがとうございました。また、ぜひ電通にいらしてください。改めて、皆様盛大な拍手を!





■関連情報
tofubeatsオフィシャルサイト

  • 若林恵(わかばやし・けい)
  • 1971年生まれ。ロンドン、ニューヨークで幼少期を過ごす。大学卒業後、出版社平凡社に入社。『月刊 太陽』の編集部スタッフとして、日本の伝統文化から料理、建築、デザイン、文学などカルチャー全般に関わる記事の編集に携わる。2000年にフリー編集者として独立し、以後、雑誌、フリーペーパー、企業広報誌の編集制作などを行ってきたほか、展覧会の図録や書籍の編集も数多く手掛ける。また、音楽ジャーナリストとしてフリージャズからK­POPまで、広範なジャンルの音楽記事を手掛けるほか、音楽レーベルのコンサルティングなども。2011年から現職。
  • SHUSAKU HIROTA
  • Communication Designer / / dentsu
  • 放送局勤務を経て2009年に電通入社。企業のデジタル戦略的活用のお手伝いをしています。社内横断組織「電通モダン・コミュニケーション・ラボ」ディレクター。著書に『SHARED VISION』(宣伝会議)がある。趣味は、読書と座禅。