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New Conception of Music 第1回 tofubeats【前編】

好きなものしかチェックしない

——トレンドの音楽ジャンルを楽曲に反映することに関連して、情報のインプット術を伺わせてもらってもいいでしょうか。例えば、SoundCloudって普段どう聴かれてますか?

トーフ:1曲10秒も聴かないでパッパッて感じですね。あとは人がLike付けている曲の欄を見たりとか。でも、そんなきっちり全部チェックしなくなりましたね。流し見、斜め読みって感じに最近なってきました。

最近は、SoundCloudを見るよりもレコード屋のサイトを見てますね。自分のルーツへの回帰がちょっとある感じです。昔、レコードは買っていたんで、自分にとっては普通というか。それほど幅広くもないですけどね。好きなものしかチェックしないんで。あとは普通にFACT Magazine読んだりとかですかね。

——他にウェブメディアなどで普段チェックされているものなどはありますか?

トーフ:一番読んでいるのはEngadgetですかね。Engadgetだけは毎日欠かさず読んでいます。何か分からないんですけど見てます。面白系の記事などではなくて、もっと硬派な全然買う予定のないスマホの最新リリースとか見ていますね(笑)。

tofubeats的コラボ論

——リミックス仕事やコラボレーション曲をたくさん手がけていらっしゃいますが、自分1人でやる曲と作曲される過程での違いはありますか?

トーフ:やっぱり一応名義は考えるっていうか、人の名義で参加させていただくときは、多少は引いて考えるようにはしていますね。そもそもリミックスとなると原曲ありきなものなんで、原曲好きな方がいて、原曲作っている方がいて、どういうオーダーかっていうのはすごく意識しますし、自分の場合は自分の名義でその人がするにあたってどうするとメリットかなぁみたいなことを考えます。

例えば今回のアルバムだと岸田繁さんの曲がありますね。くるりって今、すごい音楽的に熟成していて、それはすごい面白いんです。ただ逆に外様じゃないとシンプルな曲って出来ないのかなって思ったりもしていて、せっかくコラボするんだったらシンプルな曲をお渡ししてみようか、とかそういう提案をこっちから出来るのが自分の名義ならではですね。人の名義での曲は、こうちょっとソリューションじゃないけど、その曲の向きを変えてあげるみたいなことを意識しますね。だから曲自体は一緒だけれども、回転させる作業みたいな感じですかね。

——自分の色を付けて回転させるっていう。

トーフ:そうですね、まぁ自分の色しか付けられないんで(笑)。オファーを貰っている時点で自分の出来ることしか出来ないんで。その上で、その曲に角度を付けられるようにできたらなっていうのはありますね。

曲の作り方は昔から変わっていない

——インディーズ時代とメジャー時代で、曲の作り方が大きく変わったことはありますか?

トーフ:大きい変化は無いですね。機材が変わったとかソフトが変わったとかそういうのはあるんですけど。基本的にはデスクに座って、うんうん言いながら考えるっていうのは『lost decade』の頃から一緒ですね。いや、もっと昔から一緒かもしれないです。一番最初からずっと作って座って考えています。昔はちゃぶ台だったですけれど。

——作り方があまり変わらないというのは意外ですね。ゲストの方がどんどん増えたり、メジャー仕事なんで締め切りがあったりとかはあると思いますが、その辺りはどうでしょうか?

トーフ:もちろんもちろん。締め切りがあるとか、アレンジをもっと派手にしなきゃいけないとか、そういう実務的なところはあるんですけど。やってることが変わったという意識は全然無いですね。やりたいことを実現出来るようになったみたいな。例えば、サンプリングが合法で出来るようになったというような。だから、その認可が下りてるか下りてないかとか、素材がちゃんとしてるかしてないかだとか、ドラムの音が良いか悪いかぐらいで、何かやりたいことや、やれてることはそんなに変わってない気がしますね。

——音作りに関してもお伺いさせて下さい。今までほとんど打ち込みでしたが、最近の曲ではギターを自分で弾いてみたり、今回のアルバムでは笛(EWI)を吹いたり、EGO-WRAPPIN’の中納良恵さんとの曲ではピアノが入って生音っぽくなっていたりしていて変化が感じられました。生音志向のようなものが垣間見えるのですが、何か意識されているのでしょうか?

トーフ:これは伸び代ってやつですね。生音は使ったことないんで、これを使ったら青天井なわけですよ。まだ1回もやったことないし、録音のプロセスとかも全然知らないわけですよ。だから、楽器練習するのはクソだるいんですけど、これをここからやり始めたら、もしくはこれを出来る人と一緒にやったら、やったことがないことがめっちゃあるわけで、そうするとまだ全然伸びるっていう、それはあるんですよね。

聴いたことのない音を作りたいっていうのはあるんで、そういう意味では生楽器を入れるってのはそれをひとつ簡単に広げてくれる方法ではあると思います。ただ自分の範囲を超えすぎちゃうと僕がオペレーション出来なくなっちゃうんで、それを上手いことバランスをとってやっている感じですね。

——難しいけれども面白そうだからやるっていう。

トーフ:でも苦労はしたくないから、ゆっくりなんですよ。面倒臭いし(笑)。一気に生で録りましょうってスタジオ借りるとお金もかかるんで。だから家にギタリスト呼んでみようというぐらいからやっていますね。「POSITIVE feat. Dream Ami」とかもそうなんですけど。「何なら、楽器が出来る人に話を聞いてみよう」ぐらいで止まるっていう、そういう感じですかね。でも次作るときは全部生が良いって言ってるかもしれないですし、それはその時々しか分からないですね。

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歌詞も原稿もEvernoteに書く

——次は曲から歌詞の話に移りたいと思うのですが、いわゆるJ-POPで曲の作り方で詞先/曲先(※6)みたいなのがあるじゃないですか。トーフさんの場合はいかがでしょうか。

トーフ:ほぼ曲先ですね。ただ、めったに無いですけど、一緒に出てくるのが一番良いとは思いますね。一緒に頭から作れる曲は良い曲が多いというか、気に入る曲が多いというか。

——例えばどの曲が一緒に出てきたものでしょうか?

トーフ:あまり無いかなぁ。「Don’t Stop The Music feat.森高千里」は締め切り過ぎた後に、曲と歌詞が一緒に出てきて「あ、いいの出来た」みたいな。サビがツルっと出てきて。何かそういうのが出来た曲はいいんですけど。大体は曲先で、詞を書いて、あとは詞に合わせて曲を修正して……と行ったり来たりするって感じになります。作詞は難しいですね。

——難しいと仰る作詞ですが、どのような環境で歌詞を書いているのでしょうか? コピーライターやプランナーの仕事の参考にさせていただければと思うんですが。

トーフ:全部Evernoteです。曲のメモとか、原稿とかも全部Evernoteです。で、そのEvernoteに、例えばアイドルの曲だったら、「アイドルの夏曲」みたいな感じで、そこに紐づく単語をめちゃめちゃメモっていくんですよ。どんどん最初にメモったところから3軍、2軍、1軍みたいな感じで分けていくんですね。そして、残ったものを歌詞にするというやり方です。書き出していって、そこから絞っていくみたいな。他のアーティストに提供するときも、自分で曲作るときもそうですね。

——場所はどちらで書かれることが多いですか?

トーフ:歌いながら書かないといけなかったりするんで、外でやるときもあるんですけど、結局は家ですね。

——先ほどの「Don’t Stop The Music〜」みたいに、フレーズとして声に出して気持ち良い言葉を歌詞にされるんですか?

トーフ:基本的には歌うものなのでそうですね。たまに書き換えて欲しいというオーダーがあるんですけど、基本的には喫茶店で「ふふんふふん」とかやるわけにいかないんで。

——歌詞の着想の源はいかがでしょうか。以前何かの取材で、自身のお部屋に女性誌などがあったと記憶しているのですが、ネタ元などあれば教えていただけますか?

トーフ:そのときどきですね。アイドルの曲を作るときは女性誌を読んでいます。何故かというと、そもそもそのアイドルの子が考えていることを、僕が分からないので。その年齢の子が言って嫌なことを歌わすのだけは避けたいなっていうのがありますね。それで女性誌買って、ここから上手いこと着想が得られれば、この子たちが言って嫌なことにはならないだろうっていうのがあって、それでいろいろ読んでいます。あとは、大学の頃のテキストをバーって読んで「あぁこの言葉格好いいからどこかで使いたいな」とメモ書きしていたものを引っ張りだしてきたりとかもありますね。だから結構、意識的に探したりとか、Evernoteに貯めておいた気になった単語を引っ張り出してきたりするのは多いですね


※6:詞先/曲先…文字通り楽曲制作において、歌詞を先に書いてからメロディーを付けるのが詞先、メロディーを書いてから歌詞を付けるのが曲先。

「勝ち曲名」と反復するモチーフ

——今、お話で出たことに関して、「STAKEHOLDER」とかもそうなんですが、トーフさんの歌詞や曲名って何かわざと異質なワードを使用していると思っていて。私個人としては歌謡曲・J-POPの文脈だと阿久悠さん(※7)とかKIRINJI(※8)のラインに近いかなと思いますが、何か意識されていたりしますか?

トーフ:そもそもSEO対策っていうのもあります(笑)。あと、近田春夫さん(※9)の言葉ですごく好きなのがありまして、「良い詞っていうのは、一言でいいからこれまで詞に使われてこなかった言葉が入っている曲だ」というものでして。良いなと思う一方で、なかなか出来ないんですよ、これ。

同様に、僕、小西康陽さん(※10)もすごく好きなんですね。あの人の作詞って「勝ち曲名」だと思うんです。「東京は夜の七時」って「勝ち曲名」じゃないですか。ああいう「勝ち曲名」っていうのがすごく好きなんですよ。何て定義したら良いか分からないんですが、これまでのポップスで注目されたことがないところを切り取っていくっていうことだと思うんですね。それって時間が経てば経つほど難しいんですけど、だからこそ何とかして出来ないかなという気持ちはありますね。

——その具体例として経済学の本からの引用があると。

トーフ:そうですね、だから使われたことのない言葉を……っていう。

——勝ち曲名。面白いですね。

トーフ:やっぱりそれが出来てる人はすごいなって思います。いい作詞家さんっていうのはそういう要素を持っている人ではないでしょうか。

——「勝ち曲名」に用いられる異質なワードというのと、もう1つトーフさんの作詞には特徴があると思っていて。それは「ダンス」や「終わらない感じ」、「郊外っぽさ」などに代表される、繰り返し登場するモチーフにあると思います。個人的には、この反復感はZAZEN BOYSの向井秀徳さん(※11)などを想起するんですが、モチーフの反復に関して意識されていることなどありますか?

トーフ:先ほど話した通り小西さんも好きですし、それこそZAZEN BOYSもすごい好きなんでサイン入りポスターも持っているんですけど(笑)。実は小西さんを聴いたときに、同じ音を何回も使うことに関して、ダメだと思ってたんですよ。普通は避けることじゃないですか。でもドラムロールとか同じ音を何回も使うとか、向井さんのあの歌詞とかもそうですけど、言いたいことってそんないっぱい無いよねっていう話だと思うんですよね。だから同じ音や歌詞を、その時々のモードで出していくっていうのが正しいなと何となく思っています。その代わり飽きないようにはするっていう礼儀はあるにせよ、同じことをその時々に合わせて、やり続けるっていうのは大事かなっていう気はするんですよね。

——絶えずモチーフは持ちつつも、それを刷新していくと。

トーフ:そうですね、あと言いたいことってそんな増えないと思うんですよ、音楽をやっていく上で。そんなに音楽を使ってどうこうしたいみたいなのは無いので。


※7:阿久悠…日本を代表する作詞家。ピンク・レディー「UFO」、沢田研二「勝手にしやがれ」、石川さゆり「津軽海峡・冬景色」など数多くのヒット曲を手掛ける。

※8 :KIRINJI…堀込高樹を中心とする日本のバンド。2013年までは弟の堀込泰行との兄弟ユニット「キリンジ」であったが、同年泰行が脱退、新たに5人のメンバーが加入した。複雑なコードワークや独特の歌詞が人気。

※9:近田春夫…音楽家、音楽評論家。様々な名義によって幅広い音楽活動を行う一方、週刊文春誌での連載「考えるヒット」などでの評論活動でも有名。

※10:小西康陽…音楽家、音楽プロデューサー、DJ。音楽グループ「ピチカート・ファイヴ」の中心人物として、後に「渋谷系」と呼ばれるサウンドの確立に寄与。また、レコードマニア、映画マニアとしても知られており、歌詞や曲名、楽曲における多数の引用が見られる。

※11:向井秀徳…ロックバンド「ZAZEN BOYS」のボーカル、ギターとして活躍する日本の音楽家。複数の楽曲において歌詞のモチーフや同一フレーズの繰り返しを用いていることでも有名。

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(次ページ 映像やアートワークの制作秘話)