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New Conception of Music 第1回 tofubeats【前編】

「CDが売れなくなった」「収益モデルの転換が迫られている」。こうした音楽業界の先行きを不安視する声が昨今すっかり定着してしまいました。しかし、その一方で人々は音楽から離れてなどおらず、むしろ人々が音楽と接する環境はより多様になってきたのではないでしょうか。例えば、CDは買わなくても、動画で音楽を聴いたりフェスに行ったり、演奏してみたり踊ってみたり……皆さん多かれ少なかれ思い当たる節はあると思います。

そうした環境下で、音楽に関する仕事をしている人たちは何を考え、創作活動を行い、生き延びるための環境を作っているのでしょうか? 当連載では、第一線で活躍されている方にこれらの疑問を伺い、その答えを通じて今後の音楽業界やコンテンツ産業のヒントを探っていきたいと思います。

記念すべき第1回はアーティスト、DJ、音楽プロデューサーとして各方面で活躍されているtofubeats氏にインタビューしました。

Interview by Kazuya Kishimoto | Photos by Jun Matarai

2015.10.29[Thu]

1990年生まれのtofubeats氏は神戸を活動拠点とし、PCを中心に楽曲制作を行いインターネット上で楽曲を発表するスタイルで業界の注目を集めました。大学在学中に発表した『水星』、『lost decade』はiTunes総合ランキングで1位を獲得。メジャーデビュー後は森高千里や藤井隆らと次々にコラボし楽曲を発表。新アルバム『POSITIVE』は小室哲哉や岸田繁(くるり)、KREVAなどの豪華アーティストを迎えて制作されました。また、並行してSMAPやYUKI、平井堅などのメジャーアーティストのリミックスを担当する他、宇多田ヒカルのトリビュート・アルバム参加など数々の客演をこなしています。加えて、個人でも各種イベントでのライブやDJなど精力的に活動されています。昨年には世界的DJ/プロデューサーのDiploがホストする、イギリスBBCラジオの番組に日本人で初めてDJミックス音源を提供しました。

締め切りが無いと出来上がったことに出来ない

——最初に、制作に関してお伺いさせて下さい。音源のリリースだけでも、通常のアルバムリリースに加えて、外部アーティストへのリミックス提供、配信限定のリリースなど多数なさっていますよね。更には多くのライブやDJなど多方面で活躍されていますが、そうした多忙な中で1曲あたりどのぐらいの時間をかけて作られているんでしょうか?

tofubeats(以下トーフ):ピンきりですね。早い時は半日で済む場合もあるんですが、時間がかかると半年とかかかる場合もあります。でも実際に作業する時間は長くても1〜2ヶ月ぐらいになりますかね。

——音色が決まるまで、あるいは曲のラフが出来るまでの時間もピンきりなのでしょうか。

トーフ:そうですね、本当に僕は早くない。あと70〜80点ぐらいまでのものを作るのはアイデアが出たら早いですが、そこから100点にするのは幾らでも時間が掛けられるため、もう締め切り次第っていうのはありますね。

——やはり、締め切りの中でいかに頑張るかが重要なんでしょうかね。

トーフ:そうですね、締め切りが無いと出来上がったことに出来ないっていうのもありますね。締め切りは「どうせ今の自分はこんぐらいしか出来ないんや」と思う良いタイミングでもありますね。

制作作業とツアーの切り替え

——ツアーで全国各地を飛び回っていらっしゃると思いますが、作曲される際はほとんど自宅なのでしょうか?

トーフ:はい、基本的に家のデスクに座らないと曲を作る気分になりにくいですね。出先で曲を少し組み替えたり、ライブの仕込みだったりメガミックスだったり、既存の曲をいじる仕事は外でも出来ますが。ただ、作る仕事は家じゃないと出来ないですね、なぜかは分からないですが。

——それは機材の問題であったりするのでしょうか?

トーフ:もちろんそれもあります。あとは腰を据えて作業できる場や、ある程度声を出しても大丈夫な場所があまり無いからですかね。

——私もDTM(※1)を多少かじっているので分かるんですが、煮詰まるというか、デスクに座ってひたすら曲とか作っているときって答えのない感じがして、悶々とするじゃないですか。こうした感じはDTMに限らず、1人でPCに向き合う制作作業には付き物だと思っているんですが、そういうときの気分転換や切り抜ける方法って何かありますか?

トーフ:散歩一択ですね。でも最近は、散歩することがルーティンになりすぎちゃって、別のことをすることもありますね。去年はずっとプールに行ってたり、今年は今年でいろいろ外出したりしてました。ちょっと車乗ってみたり、ブックオフ行ってみたり、買い物行ってみたりとか。ホントそういう感じですね。作って気分転換、作って気分転換っていう、ただそれをずっと続けているって感じですね。

——遠出はそれほどされないんですか?

トーフ:遠出はそもそもめちゃしてるっていうのがありますね。東京にすごい来てるんで(笑)。都内に来ているときは、こうやってインタビューの仕事をたくさん入れていただいていて、ホテルで制作もそんなするわけにもいかないんで、取材が気分転換っていうのがありますね。東京来てる間は「機材も無いので、制作進められません」って気持ちが切り替えられるので、丁度良いタイミングだったりしますね。

——楽しんでツアーを乗り切ってるという。

トーフ:そういう面は少しありますね。ツアーやってる間は作らなくていいんで。逆に家にいる間はツアーしなくていい、ライブしなくていいとか。それはありますね。

——上手く出来ていていいですね、制作とライブで切り替えができていて。

トーフ:まぁ得てしてどっちもいっぱいいっぱいなんですけど(笑)。

※1:DTM…デスクトップ・ミュージックの略で、PCを用いて音楽を作成することの総称。

自分なりの音のつくり方

——新譜もそうなんですが、tofubeats(以下トーフ)さんの音楽ってジャンルをクロスオーバーして作っているような印象を受けることが多いです。これは2タイプあると思っていて、1つは新しいものとJ−POP的な要素の掛け合わせですね。例えば「STAKEHOLDER」がフューチャーベース(※2)とJ-POPの組み合わせであったり、「SITCOME(intro)」がジャスコテック(※3)を取り入れたりと。

もう一つはダンス・ミュージック同士の今まで組み合わさっていない組み合わせで、「CAND¥¥¥LAND feat. LIZ」はパラパラとトラップ(※4)であったり、小室哲哉さんとの新曲「Throw Your Laptop On The Fire Feat. 小室哲哉」はまさしくTK節っていうテクノと刻みの入ったエディット(※5)感っていうのがあると思います。このようにあえて複数のジャンルを組み合わせて1つのジャンルの型にハマらないようにする、ジャンルを外してみるというのは意識されてたりしていますか?

トーフ:外すっていうのはあんまり考えていなくて、何かと何かを組み合わせて、何か聴いたことないものを作るということかもしれないですね。だから小室さんの曲は出来上がったとき、すごい嬉しかったですね。何かそのパラパラとトラップ合わせたらこうなるだろうなっていうのがあって、「CAND¥¥¥LAND〜」みたいなのが出来るのは、それはそれで嬉しいんですけど。小室さんとの曲は作っていてどうなるか分からなくて、そういうのはたまにしかないんで良かったですね。「良くわからないけれど、新しいかもしれないな」っていうのをやると面白いです。

あとは「変にしてもいいかな」と思っているところもあるかもしれないです。それこそJ-POPってそういう変なものがアリとされるような気がしていて。サビがあったら他は何でもいいみたいな感じですね。

——なるほど。

トーフ:単純に面白いといいなという感じで、そんなに意識はしてないですね。あとは自分っぽくしようっていうのはあるかもしれない。「こうやったらあの人っぽい、こうやったら変だけど自分っぽい」っていうときに、自分っぽい方が良いのかなってのは思いますね。器用に作る人や、上手い人はめっちゃ多いんで、それで勝負したって勝負出来ない。だから自分っぽいのは大事にしたいなっていうのはありますね。


※2:フューチャーベース…R&Bのメロディーやトラップのリズムパターン、ゲーム音楽に影響を受けたシンセサイザーサウンドなどが特徴的な音楽ジャンル。2013年頃よりインターネット上で盛り上がりをみせている。

※3:ジャスコテック…郊外型スーパーマーケットの店内で流れているような音楽をダンスミュージック化したジャンル。

※4:トラップ…アメリカ南部のヒップホップから派生して生まれたジャンル。強調されたベースラインやスネアドラムの連続音などが特徴的。

※5:エディット…元の楽曲の一部あるいは全部をバラバラにした後、再構成して曲として組み立て直す手法。

(次ページ 情報のインプット法、作詞作曲術)