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人口規模は杉並区 + 世田谷区。小国エストニアがイノベーションを生み出せる理由。

— 性格といいますか、国民性としてもチャレンジ精神が旺盛なのでしょうか。

ラウル:エストニア人は「起業すること」=「すごいこと」というイメージをあまりもっていないんですよ。エストニア国内には大企業もそう多くないので、起業しても就職してもあまり変わりがない。
日本に対してよく思うのは、良くも悪くも「便利すぎる」ということ。そこまでがんばらなくても生活には困らないはずです。一方で、エストニアは約25年前に独立したばかりの国。ハングリー精神があるんです。占領下時代の苦しさを覚えているからこそ、ハングリーでいられる。自分達よりも大きな国があるのを知っているからこそ、「経済的に勝たないと」と思うんです。もちろん日本にもハングリーな人はいます。が、エストニアの方が多いように感じますね。東京とエストニアの面積や人口差を考えると、もっと東京にもハングリーな人がいてもいいはずだけどな、と。

— 日本だと大学を卒業したら就職するのが一般的です。それこそ大企業に入るのが安定志向で勝ち組、と思われたり。一方で「起業」となると「すごい」と騒がれたり「大丈夫かな」と心配されがちですね。このあたりは、日本のマーケットが大きすぎるのが逆に不利に働いてしまっている、ということでしょうか?

ラウル:二つの考え方があります。一つは日本で大きく成長してから、海外へ打って出ること。ただし、この場合はすでに「日本の会社」になっているので、また別のハードルが生まれてしまうと思います。もう一つははじめからグローバルな企業を目指すやり方。どちらの道で目指すのかは最初に決めるべきでしょう。日本の強みはマーケットそのものですが、最初からそこに注力するとあとから方向を変えるのが難しくなります。なので、個人的には最初からグローバル化した方がいいと思います。

— 日本の大企業がグローバル化する、というパターンもありえますでしょうか。

ラウル:大企業にも立派な人は多いと思いますよ。ただ、大企業の人は「お役所仕事」をしているような印象も受けます。大企業はどうしても仕組みとして動きが遅くなってしまいがちで、うまくトライアルができないですし、リスクもそこまでとりにくいのが難しいところですね。


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“Brain Drain & Brain Gain”が今後の日本のカギ。

— エストニアの柔軟性や動きの早さはどこに起因するんでしょうか?

ラウル:エストニアは自国の今の状態に満足していないからでしょう。みんな自分たちの動きが遅いと思っているんです。もっと早く、もっと良くしていこう、という雰囲気がありますね。

— 日本人の僕からすると十分に早すぎるスピード感だと感じますが……それでもエストニアの人たちにとってはまだまだなんですね。

ラウル:エストニアでも電子政府の実現には多くのトライ&エラーがあり、長い時間がかかったんですよ。ただ、チャレンジしはじめるのはものすごく早かったかもしれません。リスクはもちろんありますが、とにかく動いてみないことにはアイデアの実現も成功もないんですよね。日本はやる前になんでも考えてしまうところがあって、準備に膨大な時間をかけています。たった1%のリスクをつぶすために苦心して99%がなかなか前に進められない。エストニアは一度決めてしまえば、そこまで深くは考えないんです。失敗したとしても、重要なのは早くその失敗に対応すること。うまくいくか分からなくても、とりあえずまずはやってみる。失敗を繰り返しながら、どんどん改善していくのです。

— 失敗しても誰も怒らないんですか?だって、怒られるの、怖くないですか?(笑)

ラウル:もちろん、失敗したらみんな怒りますよ(笑)。それでも、失敗のあとにすぐに対応すれば許してもらえます。あんまりネチネチ言わないのも大事かもしれませんね(笑)。本当に取り返しのつかない失敗は珍しい。失敗を恐れずにどんどんやるべきなんです。


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— これからの日本はどうするのが良いと思われますか?

ラウル:「Brain Drain & Brain Gain(頭脳流出と頭脳獲得)」という言い方があります。Drainは国外に行って、自国からいなくなってしまうこと。反対にGainは国外から誰かが訪れるということ。でも本当は「Circulation(循環)」なんです。何度も行き来することに一番のメリットがある。国外に行って新しい経験をして知識を得て、また日本に戻ってきて新しく何かをやる。そして、また出て行く。人材の循環をつくって、互いに高めあう。この循環にカギがあると思います。

— 海外から優秀な人々がたくさん日本に来ればいいし、逆に日本からもどんどん海外に行けばいいと。ラウルさん自身もエストニアと日本を境目なく行き来して生活されていますよね。

ラウル:これまでは一度国外に行くと戻ってこないか、出ていかずにずっと自国に留まっているかというのが一般的だったかもしれませんが、ビジネスがグローバルになっていくにつれて行き来の機会が増えると思いますし、人材の循環をつくるチャンスですね。

  • Raul Allikivi(ラウル・アリキヴィ)
  • エストニアの経済通信省にて経済開発部の局次長などを歴任後、コンサルティング会社ESTASIA、日本のクラフトビールを欧州へ輸入するBIIRUを設立。近年ではエストニア電子政府で活用されているセキュリティ技術を提供するPlanetway Corporationの取締役に就任。日本・エストニア間ビジネスの拡大を進めている。
  • YUKI SHINTANI
  • Planner / / dentsu
  • 2013年電通入社。
    音楽と写真とインターネットとカレーが好きです。