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人口規模は杉並区 + 世田谷区。小国エストニアがイノベーションを生み出せる理由。

— エストニアと日本の2カ国を深く知るラウルさんからみて、日本のエストニアの違いはなんでしょうか。

ラウル:Skypeのようなグローバルでの成功事例があるというのが大きいと思っています。Skypeは2004年にエストニアで生まれ、エストニア人のエンジニアが多く働いていました。その後2005年にeBayに買収されたんですが、そのタイミングでSkypeの株を持っていた人たちは、一夜にして大金持ちになりました。それを見た人たちが「自分も何かできるんじゃないか」という勇気を持てるようになったんですね。

— Skypeの成功を目の当たりにして、みんなが「自分もやってやる」と思うようになった、と。エストニアン・ドリームですね。

ラウル:アメリカでスティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが大儲けしていても自分ゴトにしにくいですが、クラスメートの誰かが成功して大金持ちになったのを間近に見ると「もしかすると、自分だってやればできるんじゃないか?」と思いますよね。

— たしかに、学校の友だちがひと山当てるのを目の当たりにすると一気に自分ゴト化できそうです。Skypeの代表者はエストニアでも有名なのですか?

ラウル:世界で名前が知られているのは創設者の二人です。一人はスウェーデン人のニクラス・ゼンストロームで、もう一人はデンマーク人のヤヌス・フリス。彼らはビジネス面でのファウンダーという側面が強いですが、開発にはエストニア人のエンジニアが多く関わっています。その他にもTransferWise、Guardtimeなど、エストニアにはSkypeのようにゼロから大きくなった会社が少なくありません。このようなグローバルで活躍するヒーローやロールモデルが、日本ではなかなか出てきていないのではないでしょうか。


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国家の制度自体を疑い、ハックする。電子住居という考え方。

— 確かに、日本発のスタートアップでグローバルの目立った成功例はまだまだ少ないように感じますね。

ラウル:それと、作ろうと思えばすぐに会社をつくれる、という環境もエストニアの強みですね。ひとつは国の制度上の理由、もうひとつにはカルチャー的な理由があります。まず前提として、エストニアの人口は130万人で、杉並区と世田谷区を合わせたほどしかいません。そのままだと、エストニア国内の力だけでは世界に通用しません。なので、エストニアをプラットフォームとして国外の人でも使えるようにする、電子住居、E-Residencyという仕組みがあるんです。オンラインの申込で簡単にエストニアの住人として登録できます。2025年に目指しているのは人口1,000万人。その規模になると世界的にも影響が出てきそうですよね。将来的には、国力は面積や純粋な人口では測れないようになっていくはずです。世界が変わると思いますよ。

— それってつまり、国民をバーチャルで増やして自国の戦力にする、ということですよね。国家の制度自体を前提から疑ってハックしにかかっている、といいますか……。たしかに、Skypeの例でも創設者はスウェーデン人とデンマーク人でしたね。国外の人がエストニアで起業するケースは多いのですか?

ラウル:その通りです。エストニア人はもちろんですが、エストニア国外の方も電子政府・電子住居の仕組みを通じて、エストニアで簡単に会社をつくることができるんですよ。エストニアで成功している企業の事例をみていると、むしろ国外からエストニアに訪れて起業しているケースの方が多いですね。また政府としてもスタートアップを奨励しています。エストニアは小さな国で、人的資源も少ないので大手の企業があまりありません。スタートアップには当然リスクがつきまといますが、その反面伸びたときのリターンも大きい。なので経済政策上、大企業とスタートアップのどちらに投資をするのかの判断がとても重要で。近年ではスタートアップへの投資に注力していますね。


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(次ページ これからの日本に必要なこと)