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人口規模は杉並区 + 世田谷区。小国エストニアがイノベーションを生み出せる理由。

— 先日は『WIRED REAL WORLD』というWIREDが主催するツアーの初回、エストニア版にツアーエディターとして参加されていました。僕自身も同行させていただいていますが、簡単にこのツアーの内容をご説明いただけますか?

ラウル:エストニアのテックカンファレンスであるLatitude59に参加しつつ、エストニア国内のスタートアップや政府機関、学校を訪問するツアーです。エストニア政府主導の取り組みを紹介する「e-Estonia ショールーム」や、エストニアを代表するスタートアップインキュベーター「Garage48」に「タリン工科大学」。国際送金サービスを展開する「TransferWise」やブロックチェーン技術を利用したデータセキュリティー企業「Guardtime」など、カンファレンスだけでなく多くの場所を訪れることができました。訪問先ではそれぞれプレゼンテーションを受けたり、質疑応答、ディスカッションをする時間を設けています。ツアーの中で何かピンとくるサービスや技術があれば、そのままビジネスの話をしてもらうことも可能です。


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Latitude59の玄関口。古い工場を建物ごと再利用している。

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Garage48でのプレゼンテーション。

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e-Estonia ショールーム。

エストニアを踏み台に利用し、グローバル化を狙うべき。

— 「エディター」という肩書きでツアーをプロデュースをする上で、ラウルさんはどういった経験を参加者にしてほしいと思ってツアーを計画したのですか?

ラウル:もともとはエストニアと日本の企業が組んで、もっといろんなことをやってほしいという思いがありました。エストニアのおもしろいものを日本の企業の方に見てもらい、エストニアで一緒に新しいことができたら良いな、と。
というのも、日本の企業ってイギリスやドイツのような大きいマーケットに行きがちなんです。一方で、エストニアにはそもそもマーケット自体がありません。人口130万人の小さな国ですから、当たり前といえば当たり前ですね。でも、小さい国だからこそ、そこでテストを行ったりイノベーションを起こしたりはできます。エストニアを他国とは違う使い方で「利用」してほしいんです。

— 利用してほしい、というフレーズが印象的です。国外の人にテストマーケットとして使われても、失敗されるかもしれませんよね。国としての損害はないんですか?

ラウル:よく言われるのは「小さい国だからこそ失敗が許されない」ということです。アメリカがすごいのは、失敗さえも学習として這い上がれるだけの国力・体力があること。そのかわり、エストニアはマーケットが小さい分、トライ&エラーのフィードバックのループが短く、新しいビジネスモデルのテストが素早くできます。そういった形で、試してみてダメならすぐに切り替えられるので、国や国民としてもそれほど気にしない。
逆に、エストニア国内でのテストに成功したとしても、エストニアの中で1番をとってもあまり意味がないんです。そのあとすぐにグローバル化しないといけない。こうした考えがあるからこそ、エストニア発のスタートアップ企業は基本的に英語圏の国に展開していきやすいですね。

— チャレンジのサイクルを短く回しつつ、うまくいきそうならすぐにグローバルに展開すると。

ラウル:そういうことです。一方で日本の企業は国内の市場だけで満足していることも多いのではないでしょうか。日本のマーケットは単体でもかなり大きいですからね。でも巷で盛んに言われているのは、「グローバルにならないといずれは競争に負ける」ということ。エストニアではその競争をゼロからお手伝いできると思います。まずはエストニアのスタートアップカルチャーに触れてインスピレーションを受ける、というところからでも良いですし。さらに一歩踏み込んで、エストニアが日本の方にとって「新しいことに挑戦できる場所」になれれば、と思っていますね。

— エストニアの企業が日本に来る、ということもありますか?

ラウル:日本はマーケットとして大きいので、チャンスはあると思います。とはいえ、言語や文化のハードルを超えるのはそう簡単ではありません。英語圏に出ていくのとはわけが違います。最近だと外国語学習ソフトの「Lingvist」は楽天から投資を受けて日本での展開をはじめました。こうしたスタートアップが今後もっと増えてほしいですね。


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(次ページ エストニアは社会の前提を疑い、それをハックする)