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プロフェッショナルによるヘアメイクの未来。 「花嫁のカリスマ」ヘアメイクアップアーティスト二法田サトシ氏インタビュー【後編】

花嫁から絶大な支持を得る、二法田サトシ氏。
2014年に発売された著書「Happy Wedding HAIR&MAKEUP ORDER BOOK」は、おしゃれな花嫁に憧れる女性のバイブル的存在となり、HPやInstagramにも多数のフォロワーがいる。

彼を始め、センスの光るヘアメイクアップアーティストはクチコミにより一気にファンを増やしている。それは今、女性たちの多くがヘアメイクの参考源としてInstagramなどのSNSで主体的に情報を収集するようになったからだ。

一方、WEB上には「自分でできる」「簡単な」ヘアメイクの術を紹介する情報が溢れ、プロフェッショナルによるヘアメイクの在り方が変わってきている。

そんな今、花嫁のカリスマは20年というヘアメイクアップアーティスト歴の中でどのような変化を自身に感じているのか、そしてヘアメイクアップアーティストの未来をどのように考えているのか。

女性ファッション誌、美容雑誌をはじめ、高島彩、潮田玲子、上村愛子など著名人のウェディングヘアメイクも手がけるなど、近年はウェディング分野でも絶大な人気を誇るヘアメイクアップアーティスト、二法田サトシ氏インタビュー後編。

Interview by Akane Yamada | Photos by Naomi Circus

2016.12.07[Wed]

「いいね」は、みんなの平均点を超えたところに生まれる

山田:雑誌や広告の仕事に加え、ウェディングのヘアメイクアップアーティストとしての仕事も増えていらっしゃる今。
二法田さんは、どんなものを創りたいと思われていますか?

二法田:最終的に、みんなが「いいね」と思うものを創りたいです。どんなところにいても「いいね」は、何かの平均点を超えたところに生まれるのだと体感したんです。
特に、ウェディングのヘアメイクの仕事は、モデルさんではなくて普通の方にヘアメイクをします。プロの方ではないからこそ、「ヘアメイクによってどう変われるか」がすごく大きい。ヘアメイクをして変身したご自身への驚きや嬉しさといったリアクションを拝見するのも楽しいです。

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山田:ウェディングの仕事と出会ってから、ヘアメイクに対する考え方は変わられましたか?

二法田:ヘアメイクは、技術者の自己満足ではなく、メイクをされるその人が良く見えていることが大切だと思っています。そのことは昔から思っていたはずなのに、以前は肩肘はって、「認められたい!」「頑張りたい!」と思ってしまっていた自分がいました。「その人」よりも自分の作品、自分の個性に気持ちが向いてしまっていた時期もあった。
でも、そんなだった自分が世の中と繋がれる実感を得られたのがウェディングの仕事です。

山田:世の中と繋がれる実感、素敵な言葉ですね。雑誌の仕事のように、ある種「特別な世界」の中での表現から、花嫁という普段は普通の方を変身させるということが、その実感を生み出していたのでしょうか?

二法田:自分がヘアメイクをさせていただいた本人が、目の前で喜んでくれる。そのことが何より嬉しかった。ビジネスを超えた何かが、そこにはあると感じました。

それまで、修行して、ずっともがいて苦しんで培ってきたことを、提供して喜んでもらえる。これまでの積み重ねは無駄じゃなかったと実感できる、といいますか……。

当日が終わっても、自分がさせていただいたヘアメイクをずっと喜んでくださっていることも、今までなかなか無かったから、嬉しかったです。おおげさかもしれないけれど、いちばん人の役に立っていることを味わえる仕事です。いちばん素直に仕事をしている気がします。
点じゃなくて、面で仕事の幅を広げていける接点をくれたのもウェディングの仕事です。

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山田:「働き方」の面で変わられたことはありますか?先ほど一緒に働くお仲間に対する考え方も変わられた、と伺いましたが、その点さらに詳しくお伺いしたいです。

二法田:何よりアシスタントへの想いが、変わってきています。受け継いでいくことを大切にしたいと思うようになりました。ヘアメイクアップアーティストって、フリーランスで基本的にみんな自由なんです。まとまりも、あまりない(笑)だから、集団になると10のチカラが集まって1000になるかというと、そうではないんですよね。

山田:協力していくというよりは、個々がそれぞれ力を発揮する感じなのでしょうか。

二法田:そうです。でも、weddingの仕事は、みんなでひとつの大きなものを創り上げている感覚が特に強くて。普段、個でたたかうことの多いヘアメイクの仕事で、チームとしてやることができている実感が強いのがweddingの仕事です。全員のチカラを足し合わせたどころか、化学反応のように何十倍ものチカラを発揮することができる気がするんです。

山田:結婚式って、時間もすっごくタイトで、ちょっとタイミングが狂うと全てに影響も出てくるという物理的な制約もあるかと思います。でも、お客さまである花嫁本人にとっては、一生に一度しかない瞬間ばかり。
ヘアメイクへの満足はもちろんですが、その1日の一瞬一瞬すべてが一生の思い出になる。だから、チームワークでこそ創り上げられるということ、私も自身のweddingですごく感じました。

二法田: 「組織ぐるみ」になれるのが、すごく心地よいんですよ。「ぼくで」じゃなくて、「ぼくらfaccieで」やっていきたい。

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山田:前編でお話いただいたような、「自分自身でアウトプットできる人になりたい、ご自身を表現したい」とおっしゃっていた出発点から、二法田さんの世界の見方がすごく変わられてきたように感じます。

二法田:その通りです。昔は、絵とか、何か目の前にある目に見えるものをいじって創ることに面白さを感じていた。でも、今は無形のもの、目に見えないものを創っています。

友人が、以前「会社もものづくりだ」と言っていらして、それはすごく興味深いなと思いました。会社の経営も、ひとつの表現・ものづくりなんだって。会社だったり組織、チームだったり。目に見えないものを創る感覚が心地よくなってきたんです。

山田:何が、ここまで二法田さんを変えていらっしゃるのでしょう。

二法田:いろんな人に心を打たれました。中でも何より、花嫁との出会いが、自分を変えてくれました。

山田:本日お話してみて、二法田さんには「スポンジにくるまれた弾丸」のような印象を抱きました。人あたりもすごくソフトですし、人と接することによって吸収なさることの量もすごく多いのでは、と感じます。でも、これと決めたら猛スピードで一直線に進んでいかれるような(笑)

二法田:何かに取りつかれると、眠りもせず食べもせずにやり続けたいタイプ。昔から、自分は、何か刺さるものがあると邁進するタイプなんです。

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「生もの」の価値が変わってきた今

山田:二法田さんがヘアメイクアップアーティストになられて、約20年。この間にヘアメイクはどのように変わられたと思いますか?

二法田:今は、自分がヘアメイクアップアーティストになった当初と比べ、いろいろなものが変わりました。
まず、写真がデジタルになって、1枚の絵の重みが変わったように思います。写真が、ある意味「手軽」に撮れるよう変わってきました。ヘアメイクの技術や情報も、過多と言えるほどになっています。動画でヘアメイクのテクニックを見ることもできてしまいます。「自分がヘアメイクやクリエイターに憧れていた頃とは、時代が変わったのかな」と強く感じます。

「生もの」の価値が変わりましたね。デジタルで修正できるようになってしまったことも、すごく大きい。上の世代は生もの、つまり「リアル」に対して、すごくストイックにこだわってきましたが、それだけじゃない、新しい価値を見出さなければいけなくなってきたんだと思っています。
でも、僕は「生もの」の価値をこれからも大切にしていった方が良いと思う。

ウェディングのヘアメイクはレタッチもしないし、花嫁ゲストの満足はデジタルの技術で創れるものではない。これまで広告の仕事で学んできたことを活かせる仕事だと感じています。「生もの」の価値が、未だに重要なジャンルですね。

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ヘアメイクの未来とは

山田:ヘアメイクの未来はどうあるべきと考えていらっしゃいますか?

二法田:今、WEB上にはヘアメイクの情報がこれでもかというほど、たくさんあります。
でも、これからのへアメイクアップアーティストは、ヘアメイクのプロフェッショナルとして自身の提供するものを信じて、良い意味での「プライド」を強く持って行かないといけない、と考えています。

そして、それを認めてもらうための努力を絶やさない。デジタルの波にのまれてあぐらをかいて、撮影現場の立ち振る舞いのうまさだけで人気が出てしまうと、仕事は長く続けられない。表面上だけではないものを培っていかないといけない、そう思います。

必死ですよ(笑)

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  • 二法田サトシ(にほうだ・さとし)
  • ヘアメイクアップアーティスト
  • 藤原美智子のアシスタントを3年間務めた後、2001年よりヘア&メイクアップアーティストとして女性誌のファッションページ、広告、歌手、タレント、アナウンサーなどを中心にキャリアをスタート。これまでの形にとらわれない新しい花嫁ヘアメイクを叶える「花嫁のカリスマ」。
  • AKANE YAMADA
  • Planner / / dentsu
  • 2012年電通入社。おしゃべり、チョコレート、パスタ、美容、旅行、ピンク・・・「女子がいかにも好きそうなこと」が好きといわれます。