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「花嫁のカリスマ」は、どうやって生まれたか。 ヘアメイクアップアーティスト二法田サトシ氏インタビュー【前編】

「結婚式の日に花嫁がお願いしたいヘアメイクアップアーティスト」といえば、真っ先に名前のあがるカリスマ、二法田サトシ氏。

女性にとってヘアメイクは、魔法であり、エチケットであり、探求の対象であり、物心ついてから切っても切り離せない存在。
毎日のヘアメイクはもちろん、女性が人生で一番美しくありたいと願う「結婚式の日」のヘアメイクの大切さといったら筆舌しがたい。
その花嫁ヘアメイクを是非お願いしたいと熱望される存在は、ヘアメイクアップアーティストの未来をどのように考えているのか。

女性ファッション誌、美容雑誌をはじめTV出演、メイクイベントでのメイク指南などで幅広く活躍するヘアメイクアップアーティスト。近年は人気ドレスショップ「トリート・ドレッシング」やウェディングプランニング会社「プラン・ドゥ・シー」の撮影を始め、高島彩、潮田玲子、上村愛子など著名人のウェディングヘアメイクも手がけるなど、ウェディング分野でも絶大な人気を誇るヘアメイクアップアーティスト、二法田サトシ氏インタビュー。
前編では、花嫁のカリスマが生まれるまでの軌跡を追った。

Interview by Akane Yamada | Photos by Naomi Circus

2016.11.29[Tue]

自由競技で美しさを追求したいと思った

山田:ヘアメイクの「未来」を考えていく上で、まずは「これまで」のお話をじっくりお伺いしたいです。
まず、二法田さんがなぜヘアメイクの仕事に携わろうと思われたのか、お聞かせください。

二法田:表現する人になりたかったからです。もともと、何か大きい組織の一部になるというよりも、「自分自身でアウトプットできる人になりたい」という気持ちがありました。

山田:もともと、ですか。小さい頃の将来の夢は何だったのですか?

二法田:小学生・中学生の頃から画家やデザイナーになりたいと言っていましたが、中学を卒業し、すぐに働き始めたんです。中卒では働く選択肢って少なくて。床屋で働くようになりました。

山田:なるほど。「創る」人になりたいという想いは昔からずっと抱かれた居たのですね。床屋でのキャリアから、どのように女性のヘアメイクにシフトされたのですか?

二法田:床屋から美容院に移って、美容師としてコンテストに出たりもしました。床屋の世界には角刈りコンクール、なんていうのもあるんですよ(笑)いかに角刈りが長さにムラがないか、とかカットした部分の直線がいかに美しいか、を競うもの……。ただ、そんなコンテストも知るうちに「規定の中の美しさを競う演技より、自由演技の方が自分は好きなんだ!」って気づいたんです。

山田:自由演技ですか。コンテストでは、二法田さんはどんなタイプの方でしたか?戦い方とか、評価のされ方の特徴とか、気になります。

二法田:採点にばらつきがあるタイプでしたね。ウィッグのコンテストで顔に銀紙を貼ってみたり、人と違うことをしようとしていました。

山田:銀紙!?

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二法田:いま思うと、最初はワガママだったのかもしれません。自分の思う「アート」を表現したかったんです。22歳でお店を出てからは、もがいていましたね。フリーランスの名刺をつくって、深夜ドラマのメイクとか、成人式のヘアメイクとか、とにかく色々やってみていました。でも、この時期に、ちゃんと誰かに師事してアシスタントをしていらっしゃる方々と知り合うようになって。

それで、24歳の時から藤原美智子さんに師事しました。ちょうど募集していたんです。チャンスに恵まれてたな、と思います。それからは、洗濯機の中にいるような日々でした。

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洗濯機の中にいるような日々で

山田:洗濯機の中にいるような日々!?どんな日々だったのですか?

二法田:当時はフィルムだったので、撮影がとても長かったです。それに、動きのあるヘアメイクが人気だった時代でもないので作り込む必要があって、作品に対する集中力や熱がすごかった。

撮影現場も、怖い人だらけでした(笑)和気あいあいとした雰囲気、なんかじゃない。カメラマンも怖い、ヘアメイクも怖い、モデルまで怖かったです。

山田:きびしい環境の中で、あきらめずに続けられたのはなぜだったのでしょうか。

二法田:圧倒され魅了されていたから、に尽きます。たとえば、カメラマンの作品への熱に魅せられました。こだわり抜く姿勢とか、とにかく全てがかっこよかったんです。まさに、憧れのような感じでした。一流の人が集結する現場に自分がいる、というのが不思議な感覚でしたがワクワクしました。

振り返ってみれば、自分はいろんなモノから逃げてきました。画家になろうと思って、なれないからならない。美大に行きたいと思っても、行けないから行かない。自分に理由をつけて、逃げてきました。ぬるま湯の中にいたんです。

でも、ここで逃げたらダメだなと思いました。モーレツに、「憧れ」がおりてきた!という感じです。

山田:すごいです。それまでの二法田さんの人生の中でもいちばん逃げたくなりそうな大変な場面で、逃げなかったんですね(笑)

二法田:これまで、こんなにキョーレツにおさえつけられることや矯正されることもなかったので、自分と向き合うことができたんだなって感じています。「この人にだったら何を言われてもいいや」と思える人と出会えた、というのが大きかった。

藤原さんは、それくらい大切な存在です。

得点を決めやすいようにアシストするヘアメイク

山田:ヘアメイクアップアーティストとして働く上で、大切にしていらっしゃることを教えてください。

二法田:「目的をちゃんと持つ」ことですかね。weddingのヘアメイクだったら、花嫁をキレイにしたい、花嫁によろこんでもらいたい。タイアップの仕事だと、たずさわるクライアントやクリエイター、モデルによろこんでもらいたい。そして、その奥にいらっしゃるお客様によろこんでもらいたい。

山田:目的ですか。その目的を実現させるために、二法田さんがこだわられていることもお聞きしたいです。

二法田:たとえば撮影なら、カメラマンのテイストによって、ヘアメイクのつくり方も変えます。動きで撮りたいカメラマンならニュアンスをつけたりします。カメラマンが撮りやすいように、モデルが動きやすいように、ヘアメイクを自在に変えていきます。

目の前に仕事として与えられて、引き受けた以上は、一流のスポーツ選手と一緒で、パスを相手が受け取りやすいようにアシストするのが自分だって思っています。得点を決めやすいようにアシストする。世界観をつくる一部であることが、とても好きです。

ファッション、ビューティ、ハイジュエリーなど、日によってジャンルが多様なのも面白くて仕方ないですね。日によってカメラマンも違いますから、撮影に入ったら自分はアシストに徹します。

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ウェディングの仕事との出会い

山田:今ではウェディングのヘアメイクアップアーティストとしても認知度の高い二法田さんですが、ウェディングのヘアメイクを始められるようになったのはなぜですか?

二法田:雑誌の仕事だと、ヘアメイクアップアーティストの表現よりもクライアントのニーズを表現することが強く求められるように、時代が変わってきました。クレジットはあっても、自分の意志は関係なくなってくる。当時は、そのことにフラストレーションが募っていました。世の中が「自分の作品」としてのヘアメイクを許さなくなってきた、と感じましたね。

そこで、あるとき「自分のためのヘアメイクは、今の時代に求められていない。誰によろこんでもらうためにやっているのだろう?」って考えたんです。
そんな風に考えているとき、ウェディングの仕事と出会いました。純粋に、目の前によろこんでくれる人がいることの嬉しさを強く感じました。

それに、自分でfaccieを立ち上げて、今はアシスタントを独り立ちさせたい、という想いも強く持つようになったり、働く仲間に対する考えも変わってきています。

(後編:プロフェッショナルによるヘアメイクの未来。「花嫁のカリスマ」ヘアメイクアップアーティスト二法田サトシ氏インタビュー【後編】に続く)
  • 二法田サトシ(にほうだ・さとし)
  • ヘアメイクアップアーティスト
  • 藤原美智子のアシスタントを3年間務めた後、2001年よりヘア&メイクアップアーティストとして女性誌のファッションページ、広告、歌手、タレント、アナウンサーなどを中心にキャリアをスタート。これまでの形にとらわれない新しい花嫁ヘアメイクを叶える「花嫁のカリスマ」。
  • AKANE YAMADA
  • Planner / / dentsu
  • 2012年電通入社。おしゃべり、チョコレート、パスタ、美容、旅行、ピンク・・・「女子がいかにも好きそうなこと」が好きといわれます。